ウランバナの音楽は、ハードなロックの中に、東洋的な神秘が見え隠れする。それがウランバナの独特の空気感をつくり、全体に一貫した雰囲気となっている。それは、宗教ではなく、信仰ではなく、ましてや布教のためなどではない。また、よく西洋人が憧れを持つ神秘思想主義でもなく、我々が生きる文化・習慣レベルに浸透している共感しやすいものである。ウランバナのソングライターである極実には、東洋思想に関するアカデミックなバックグラウンドがあるそうだ。
『さかさまつり』には、これまでのウランバナが凝縮されている。マニアックな自己満足に陥ってしまうバンドとは違ったオーラのようなもの、何か人の心を魅きつけて離さないエレメントがある。それゆえ私はこうしてウランバナを見守ってきたのだ。
ともあれ、ファーストアルバムを完成させたウランバナ、これからどこへ向かうのか? 興味は尽きない。
シャンソン東洋思想比較研究家 森永まり
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